・身近なナスやトマトも危ないの??

結論から言うと、トマトやナス、またホオズキやピーマン、ジャガイモなど、ほとんどすべてのナス科の植物には、有毒成分でもある『ソラニン』というステロイドアルカロイドの一種が含まれています。そして、これは有毒物質でもあり、よく聞くのが、ヒトのジャガイモでの中毒例で、家庭菜園や保育園や幼稚園などの自家栽培などでのジャガイモの収穫期になるとわりと頻発して起こっています。


ソラニンは神経に作用する毒性を持ち、成人の中毒量はおよそ 200〜400mg、小児の場合はその約10分の1程度と推定され、100g中の含有量が20mgを超えるものは、食用に用いないのが望ましいとされています。それらを踏まえると、イヌやネコでは、大きさなどの個体差(特に犬種差)はありますが、さらにその半分〜10分の1程度の10mg〜2mg程度の摂取量が上限かとも思えます。


中毒すると溶血作用を示し、頻脈、頭痛、嘔吐、胃炎、下痢、食欲減退などを引き起こします。低血圧、神経症状の兆しがあれば 24時間の入院観察を要し、もし大量に摂取した場合は、昏睡状態に陥り、死亡する場合もあるほどで、直ちに死に至るというほど強い毒性ではありませんが、比較的中毒例が多いことから、植物毒の中ではわりと身近にある物質ではあります。

ちなみに、トマトに含まれている『トマチン』や、ジャガイモに含まれる『ポテトグリコアルカロイド(PGA)』、ホオズキに含まれる『ソラニジン』などもソラニンの類似物質でもあります。

なお、『ソラニン』は水溶性のため流水などにさらすと水には溶け出しますが、熱には比較的安定を保つ物質のため、加熱したからと言って毒性が少なくなるものでは決してありません。

特にジャガイモなどで起こる中毒で、茹でこぼしした後のポテトサラダなどの調理例では中毒例が減少し、粉ふきイモなどの蒸した場合や、自家製のポテトチップスなど茹でこぼしや流水でさらしていない調理例で中毒例が多く、さらに症状が重くなるのはそのためです。

ジャガイモなどをイヌやネコなどに与える場合でどうしても気になる場合は、流水にさらし、茹でた後にはその茹で汁を捨てることをお勧めいたします。


ナスやホオズキなどについての『ソラニン含有量』は、資料がないため不明ではありますが、植物の誤食として考えるのであれば、トマトの『花』や『葉』『茎』などである程度参考にすべきかと思います。


家庭でイヌやネコなどに与える手作りの食事では、自家栽培のジャガイモは絶対に避けるとともに、市販品では皮部を避け、トマトではできるだけ完熟トマトを選んで与えるべきでしょう。

植物の部分 100gあたりのソラニンの含有量
(トマチンを含む)
トマト(花) 110mg
トマト(葉) 97.5mg
トマト(茎) 89.6mg
トマト(未熟果実) 46.5mg
トマト(熟した青い果実・グリーントマト) 4.8mg
トマト(完熟果実) 0.04mg
市販のジャガイモ(皮部) 50mg
市販のジャガイモ(可食部) 1.5mg
自家栽培のジャガイモ(皮部) 70mg
自家栽培のジャガイモ(可食部) 45mg(30〜90mgの差がある)
自家栽培のジャガイモ(緑化してまったもの) 86.5mg
市販のジャガイモ・男爵/収穫後3ヶ月保存(皮部) 6.1mg
市販のジャガイモ・男爵/収穫後3ヶ月保存(可食部) 0.05mg
市販のジャガイモ・男爵/収穫後3ヶ月保存(芽部) 35mg
市販のジャガイモ・男爵/未熟イモ(皮部) 9.7mg
市販のジャガイモ・男爵/未熟イモ(可食部) 0.2mg
市販のジャガイモ・アンデスレッド/収穫後3ヶ月保存(皮部) 4.5mg
市販のジャガイモ・アンデスレッド/収穫後3ヶ月保存(可食部) 0.05mg
市販のジャガイモ・アンデスレッド/収穫後3ヶ月保存(芽部) 83mg
市販のジャガイモ・アンデスレッド/未熟イモ(皮部) 20mg
市販のジャガイモ・アンデスレッド/未熟イモ(可食部) 4.3mg
市販のジャガイモ・キタアカリ/収穫後3ヶ月保存(皮部) 6.3mg
市販のジャガイモ・キタアカリ/収穫後3ヶ月保存(可食部) 0.1mg
市販のジャガイモ・キタアカリ/収穫後3ヶ月保存(芽部) 36mg
市販のジャガイモ・キタアカリ/未熟イモ(皮部) 0.6mg
市販のジャガイモ・キタアカリ/未熟イモ(可食部) 0.05mg
赤字=人間でも中毒を起こすと推察される含有量数値
青字=イヌやネコで中毒を起こす可能性がある含有量数値