浪速公園・なんば・道頓堀・千日前界隈(浪速区・中央区)、つづき・・・
ミナミは、いちど、おまえたちを連れてきてみたかったんだ。
くろ、
どうしてだかわかるかい?
以前に、今宮戎の祭りに行ったとき、おまえたちは人がたくさんいてもぜんぜん平気に過ごし、むしろ、多くの人が通り過ぎていくのをキョロキョロと見て、まるで人間観察をしているようなおまえのその表情を見たかったから、いちどたくさん人のいる場所に連れて来てみたかったんだ。
通り過ぎる人の中には、「こんな場所に犬を連れて来て・・・」と思ってた人もいただろう。
だけど、おまえはどこに出しても、どこに連れて行っても、私の信頼を絶対に裏切らない子だったから。
人の多さにおびえて暴れることもなく、誰かを見て吠えるわけでもなく、大きな音や声にびっくりして嫌がる様子もなく、退屈だからとグズグズ言い出すこともなく、ただただ、街並みを見て、人の通り過ぎるのを見て、クルマの通り過ぎるのを見て、好奇心旺盛にキョロキョロしているか、それか、かごの上でのんびりくつろいでいるか、利発というのか、大らかというのか、肝が据わっているというのか・・・そんな子だから、こんな場所でもぜんぜん気にせず連れて来ることができたんだ。
プライドが決して低くはない私が、つまらない単なる“うれしがり”のようなことができないのは、おまえがいちばんよく知っているはず・・・。
恥も外聞もなく、こんなところに“犬”を連れて来るなんて、それはおまえだからできたんだよ。
おまえだから、ちっとも私は恥ずかしいとは思わなかったんだよ。
私の信頼を絶対に裏切らないおまえだから。
そして、いちばん愛している恋人のおまえだから。